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「サブカルチャー聖地巡礼―アニメ聖地と戦国史蹟」 由谷裕哉、佐藤喜久一郎


 アニメの聖地巡礼が行われている場所について調べようと思って、図書館で中身をあまり確かめずに借りた本。内容を確認したらこれがなんと純然たる学術書なんですね。
学問の対象の多様化(学問の下流化)もここまで来たのかと思いつつ、せっかく借りたのだから読んでみました。
結論からいうと意外なことに、結構面白かったのです。
 著者らは宗教民俗学が専門のようですが、ある時アニメやゲームファンの聖地巡礼に興味を持ち、先行論文を調べその視野の狭さに驚いたのだそうです。
ほとんどの論文が、「サブカル系の聖地巡礼は一部の熱狂的なオタクが、アニメやゲームの舞台を訪れ、その世界を追体験するものであり」「本当の(宗教的な)聖地巡礼とは全く違うものである」
ということを自明のこととして書かれていたというのです。

 そのことに違和感を感じた著者らは、「聖地」とされる場所やそこにある「交流ノート」、奉納されている絵馬を調査します。そして、次のようなことを見出します。

・サブカルの「聖地」が実際の宗教施設(神社や寺院)と重なることが多いこと
・複数の作品の聖地とされている場所があること
・アニメの直接の舞台でないにも関わらず聖地とされているところがあること
・「聖地」を訪れる人の行動に、「苦行」「祈願」「反復」などがみられること
・「オタク」とは考えられない人も「聖地巡礼」を行っていること
・「祈願」の内容に「震災復興」「世界平和」などアニメと直接関係ないものが多くみられること

 以上のことから、著者らはサブカル系の「聖地巡礼」には、まさに「聖地巡礼」的な要素が認められることを見出します。
なかなか好感がもてる本だと感じました。
(オタクやオタク的コンテンツを扱った学術書や評論では“好感が持てる”かどうかがとても重要だと思っています)
図書館で見かけたら一読をお勧めします。

北山


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